2019年 7月 の投稿一覧

弁理士と弁護士の関連性と具体的な業務における違い

弁理士と関連する仕事に弁護士があります。どちらも難関の国家資格で、名前もよく似ていますが、それぞれが果たす役割と仕事内容は同じではありません。

知的財産を専門とする弁理士

弁理士は、新しい技術の発明やデザインなど知的財産を専門とするスペシャリストです。時間とお金をかけて開発した知的財産を勝手に他人に使われないようにするには、権利として法律によって保護してもらう必要があります。その方法が特許庁への出願であり、その手続きを代わりに行うのが税理士です。

紛争解決に活躍する弁護士

弁護士は、法律の専門家として社会生活で起こるさまざまな事件や紛争を適切に対処し、解決するための方法をアドバイスする存在です。法廷活動や紛争予防活動なども行います。

弁理士も名乗れる弁護士

弁護士法第3条第2項によると、弁護士は弁理士と税理士の事務も可能だとして規定されています。このように、弁護士には、法律に関するあらゆる業務を独占的に行える権利が認められているのです。そのため、弁護士は実務修習を修了すれば、試験を受けずに弁理士と名乗れるようになります。

また、訴訟に関しても弁護士の独占業務ですが、訴訟では知的財産権が問題になることも多く、また、司法試験にも知的財産法が選択科目として用意されています。そのため、知的財産に関して専門的な知識を持つ弁護士も多数いるというわけです。

弁護士の方が偉いというわけではない

こうしてみると、弁護士の方が立場が上のように思えますが、実際の業務においてはかなり事情が異なってきます。なぜなら、知的財産の新規性や創作性を判断するには、過去にある技術との違いを明確に判別する必要があるため、かなりの理系知識が要求されるからです。

弁護士の大半は法学部の出身者ですから、最先端技術に関する申請書類を作成するのが苦手な人もたくさんいます。その点、理系出身者が8割を占める弁理士は、専門的な技術についても理解が深いため、いち早く新しい技術を権利化するために必要とされるのです。

訴訟にも携われるようになった弁理士

なお、訴訟は弁護士の独占業務であり、これまでは弁理士が訴訟を行うことは認められていませんでした。しかし、2002年に弁理士法が改正され、一部の民事訴訟では、弁護士と共同で代理人として訴訟できるようになっています。

ダブルライセンスなら活躍の場が広がる

弁理士と弁護士のダブルライセンスで活躍している人もいます。特許権を巡っては、訴訟にまで発展するケースも多いため、知的財産と訴訟問題の両方を得意とする弁理士兼弁護士だと、特許の出願からいざという時の紛争解決まで活躍の場が広がります。

国際出願の増加で英語力は必要不可欠に?弁理士の今後 地方での活躍も

知的財産に興味のある方なら弁理士の資格を意識するでしょう。ただ、弁理士は数ある国家資格のなかでも最難関の資格の一つであり、資格を取得するまでに膨大な勉強時間とそれなりの費用がかかります。では、それだけの労力をかけるほど弁理士の将来性は明るいのでしょうか。

国際出願の増加

ここ最近、特許事務所への出願手続きの依頼件数が減少しています。不況の煽りを受けて、社内で手続きを完結させる企業が増えているからです。これを考えると、これから弁理士を目指す人にとっては厳しい現状です。

一方で、最近では海外での特許権取得を目指す企業も増えています。国内の出願件数は横ばいなのに対して、国際出願の件数は大幅に増加中です。国際出願では海外とのやりとりも発生するため、一般企業ではまだ対応しきれないところも少なくありません。そのため、国際出願に対応できる特許事務所へのニーズが高まっています。これから税理士として活躍したい方は英語力も磨いておくべきでしょう。

地方での活躍

弁理士のクライアントの多くは大企業であり、その本社も東京や大阪などの大都市圏に集中しています。日本弁理士会によると、2018年3月31日現在、全国の弁理士11,185人のうち、東京だけで6,000人以上という一極集中です。さらに、大阪、神奈川、愛知の1都1府2県の人数を合わせると、全国の弁理士の8割以上を占めることになります。

大都市圏で活動する弁理士は、大企業からの特許出願の依頼が多いため、それにまつわる業務に明け暮れるという方も少なくありません。一方、地方に行くほど、大企業の数が少なくなるため、弁理士の活躍の場も少なくなっています。

ところが、最近ではその地方のニーズに目をつけ、尽力する弁理士も増えつつあるのです。大企業は大都市圏に集中していますが、中小の企業や研究機関、個人の発明家は全国どの地域にもいます。そのニーズを掘り起こし、地方に埋もれる知的財産の権利化や産業化に向けて力を尽くすというのも、これからの弁理士のあり方の一つと言えるでしょう。

コンサルティングもできる弁理士が求められている
また、最近では出願手続きだけでなく、知的財産権全般についてのコンサルティングを行う弁理士も増えています。そのほか、権利者と利用者との仲介業務など、活躍するフィールドは増加中です。弁理士にアドバイザーとしての立場を求める企業も少なくないですので、クライアントからのニーズに細やかに対応できる力があれば、激化する競争のなかでも生き残っていけるでしょう。

特許事務所に勤務する弁理士の一般的な1日の過ごし方

弁理士の多くは特許事務所、企業の知的財産部門などを中心に活躍していますが、個人事業主として独立して事務所を開設する働き方もあります。どのような働き方かによって1日の過ごし方は違ってきますが、今回は一般的な特許事務所に勤務する弁理士の1日の過ごし方を見ていきましょう。

出社

特許事務所に入社すると、多くの場合一般のサラリーマンと同じく朝の9時から勤務開始です。弁理士では裁量労働的な部分も多く、一般のサラリーマンより遅い時間に出社できることもあります。ただ、出社時間が遅ければその分、終業時間も遅くなるため、トータルでの労働時間はだいたい同じです。

メールチェック

出社すると、まずメールチェックを行い、返信の必要があるものには返信を行います。担当案件によっては、国内だけでなく海外からの案件もあり、夜間にメールが届いていることも多いです。対応の必要なメールを処理してから仕事に取りかかります。

商標調査と書類作成

弁理士の仕事は商標調査と書類作成が中心です。まず、依頼の順に商標調査に取りかかり、特許出願する場合は、同じ内容の特許が競合他社によって出願されていないかを調べます。すでに登録されている商標を侵害していないと確認できたら、クライアントに報告し、商標登録の出願を希望される場合は、願書や請求書を作成していきます。意匠登録の場合は図面の手配も必要です。

また、入金済みの案件は、特許庁に出向いて商標登録を出願します。そのほか、商標権の存続期間の更新や商標権の移転登録などでも特許庁に出向くことがあります。

来客対応も

午後も同じように仕事を進めていきます。来客がある場合は、依頼内容を聞いて、出願できそうな場合は調査ファイルを作成しておきます。また、案件によって、審判請求書、手続き補正書、意見書などを作成したり、クライアントからの希望があれば見積書を作成したりといった業務もあります。

勤務終了後も勉強する弁理士が多い

一般的な1日の流れは上記の通りですが、勤務の後に弁理士会の勉強会に出席したり独学で勉強に励んだりする人も多いです。技術は日々進歩しており、法律も頻繁に改正されています。変化に対応するため、弁理士として働く限り勉強は一生続くのです。

日本弁理士会の仕事をすることも

また、日本弁理士会の委員会に入会している場合は、商標委員会や特許委員会など、所属する委員会のさまざまな業務にも携わります。委員会には、希望すれば弁理士なら誰でも入会可能です。月に2~3回、特許庁や弁理士会に出向いて、学者や有識者と話し合ったり意見を述べたりします。

弁理士への近道は弁理士試験から!弁護士・審査官/審判官からもなれる

弁理士になるには、国家資格である弁理士資格を取得しなければなりません。弁理士資格を取得する方法には、毎年5月に開催される弁理士試験に合格するのが最も一般的な方法です。そのほか、弁護士資格があれば弁理士にもなれますし、特許庁の審査官もしくは審判官として合計7年以上働いた経験のある人も弁理士資格を取得できます。

難関の弁理士試験

弁理士を目指す多くの人は弁理士試験を受験します。学歴や職歴、年齢など一切不問の誰もが受験できる試験ですが、非常に難関な試験として知られています。合格率は毎年10%を切っており、平成29年度の合格率はわずか6.5%という狭き門でした。このように難しい試験のため、一発では合格できる人は少なく、何年もかけてようやく合格するという人が多数です。

弁理士試験は、短答式と論文式の筆記試験と口述試験からなります。短答式筆記試験に合格しなければ論文式筆記試験に進めず、また、論文式筆記試験に合格しないと口述試験に臨めないという厳しい内容です。独学も不可能ではありませんが、ほとんどの人は予備校に通ったり、特許事務所で見習いとして経験を積みながら勉強を続けたりといった努力を重ねています。

弁理士の資格もあるとみなされる弁護士

冒頭でも触れたように、弁理士試験を受験する以外にも弁理士資格を取得する方法はあります。一つは弁護士の資格を取得することです。弁護士は、弁理士や税理士としての仕事も当然できるとして弁護士法第3条第2項に規定されているように、弁護士資格を有する人は弁理士に必要な知識を備えているとみなされるのです。

特許庁の審査官/審判官から弁理士になる方法

もう一つの方法は、特許庁で審査官か審判官として、審査または審判の業務を合計7年以上勤め上げることです。特許庁では商標、意匠、実用新案等の特許を審査しますから、その業務で一定の経験を重ねれば、弁理士として必要な知識を有しているとみなされるのです。実際、弁理士の約1割が特許庁の出身者と言われています。

ただ、この方法で弁理士となるには、国家公務員採用試験を受けて特許庁に入庁し、審査官補として4年以上経験を積み、さらに審査官として7年以上経験を積まなければなりません。非常に時間がかかる方法です。最初から弁理士を目指すのなら、やはり弁理士試験の合格を目指すのが近道でしょう。

学校の勉強では不十分

弁理士試験受験者の8割以上は理工系出身者です。しかし、法律知識や文章表現力も求められるため、文系出身者にも利点はあります。いずれにせよ大学の勉強だけで合格するのは難しいため、予備校や専門学校に通い努力を重ねる必要があるでしょう。

知的財産権を法律で保護するための手続きを行う弁理士

弁理士とは、特許、商標、意匠、実用新案など、知的財産に関するプロフェッショナルです。

発明者の権利を守るための仕事

新しい技術は日々生まれていますが、法律で保護しないと、誰かに簡単に真似されてしまいます。人が時間とお金をかけて開発した技術でも、それを真似するのは簡単です。真似した技術を使えば、より安い製品を作ることも可能です。

そうなると、最初にその技術を開発した人や企業にとっては大きな損失です。これを防ぐために、発明者の利益を法律によって守るために法律手続きを行うのが弁理士の仕事です。

特許出願の手続きを行う

発明した技術を他人が勝手に真似できないようにするには、特許を取得する必要があります。しかし、特許出願の手続きはとても複雑で専門知識が必要なため、一般の人や企業にとって大きな負担です。そこで登場するのが弁理士です。複雑な特許出願の手続きを発明者の代わりに行い、その権利を法律で保護された状態にすることを目指します。

工夫を要する出願書類の作成

特許庁に申請する出願書類には、発明の内容を説明した図面や明細書のほか、どんな発明についての権利を求めるのかを記す特許請求の範囲という文書を添付します。ただ、日本では年間約30万件もの特許が出願されているため、似たような発明が過去にすでに登録されていることも考えられます。

そこで、弁理士は特許庁のデータベースを調査して、特許を取得できる見込みがあるかどうかを考えます。見込みがある場合、発明者により多くの利益をもたらせるように、表現を工夫して出願書類を作成するのです。

たとえば、六角形の鉛筆を誰かが発明したとします。この場合、六角形の鉛筆で権利を取得すると、四角形や五角形の鉛筆は誰でも作れることになります。

そこで、権利範囲を広げるために、多角形の鉛筆で権利を取得しようとするとどうでしょうか。こうすれば、確かに発明者により多くの利益をもたらせると考えられるでしょう。しかし、すでに三角形の鉛筆が過去に発明されていたら、そもそも特許を取得できません。

また、多角形だと何十角形でもよいことになるため、実質的に一般的な丸い鉛筆も含んでしまいます。昔からある鉛筆と同じになってしまっては、やはり特許を取得できなくなるのです。

このような制約があるなかで、なるべく発明者に多くの利益をもたらせるように広く権利を取ろうと工夫するのが弁理士の仕事です。法律などの専門知識はもちろん、過去の発明から最先端テクノロジーまで、さまざまな技術に精通することが求められます。